はじめに
前回までの振り返りはこちら
今回は仲介会社選定時のポイントと囲い込みを抑止するテクニックをまとめます。
売却査定を依頼する
私は自宅周辺にある大手仲介5社に売却査定を依頼しました。(三井・野村・三菱・住友・東急あたりが仲介としての規模や店舗数が比較的大きいです)
この5社はいずれも自宅最寄り駅から歩いて行ける範囲の会社を選びました。歩いて行ける範囲に絞ったのは以下2点の理由からです。
- 内見時に土地勘のある担当の方が売主の質問に的確に答えられる可能性が高いこと
- 地元の仲介の方が周辺中古マンションの問い合わせが入りやすく、その際に自分の住戸も紹介してもらえる可能性があること
ちなみにマンションの売却において売主の費用が発生するのは「売れてから」です。売れるまでは基本1円も費用は発生しませんので、ご不安であれば複数社に査定依頼をして話を聞いてみてもいいかもしれません。会社は良くても担当と合わないなどのリスクがあるので最低でも2社は比較してみることをおすすめします。
ちなみにどこもWEBで売却査定の申込は完了するのですが、リハウスだけはWEBで申込をした瞬間に即営業所長から電話が来て訪問日程の調整に進みました。異常に早いレスポンスで媒介契約を取ることをとても重要視している印象を受けました。
ヒアリング内容
売却査定を申し込むと各社が自宅に来て査定をしてくれます。部屋の使用感や眺望、オプションの有無などを見られましたが、訪問の時点で全社が査定書作成済みだったので現地でのチェックはおまけ程度だと思います。
過去の記事でも書きましたが、査定価格が高いから高く売れるものではありません。高値で売り出して売れなくても仲介はノーリスクです。売れないリスクは売主である読者の皆さんが背負うことになります。この点が車の売却と大きく異なる点であり、仲介会社選びを難しくさせます。
よって査定価格だけでなく、それ以外の部分も含めて自宅を最も高値で売ってくれそうな仲介会社を探す必要があります。
仲介の担当は売却においては買い主さんに対する営業マンになります。買うかどうか迷っている買い主さんの背中をうまく押してあげられる営業マンになりうる担当者(会社)を選びたいと考えました。
私が注意して見たのは次の2点です。
販売スキルが高いこと
売却査定書の説明の上手さ、説明のわかりやすさです。複数社の話を聞いて比べてみると説明のわかりやすさには差がありますし、身なりも含めてこの人は売るのが上手そうという雰囲気が分かります。
会社単位で見ると優秀な人がいたとしても結局自宅の売却に関わってくれるのは売却査定の説明に来た担当の方1人のケースが大半です。営業所長的な役職の人も同席するパターンが多いですが、媒介契約を取る時だけで販売は担当まかせでしょう。目の前で話している人が営業だった時に自分が買いたいと思えるかという目線でチェックしました。
売却するマンションのことをよく知っていること
これも重要です。Xを見ていると好きなマンションの良さについて聞かれてもないのにペラペラと高速詠唱している過激なアカウント(褒めてる)がいますが、マンションに対する愛や知識がある人だと販売にとってもプラスと考えます。
今の市況で売却活動をしていると買い主さんは基本的に新築時から大きく値上がったマンションを買うことになります。ここもいい、あそこもいい、とそのマンションにしかない良さが伝えられると、決断する理由になります。
なので私は「(売却予定の)このマンションの売却経験がありますか?」と質問するようにしていました。一度売却を経験していればマンションやエリアの良し悪しを把握していることが多いので加点要素になります。
その点で新築時に売主だったデベロッパーの系列会社に頼むのはアリだと思います。系列会社だと新築時の販売資料や図面を持っていることが多く、情報も多く持ちあわあせています。「新築時にグループの会社が売主だったんですよ」というトークは買い主の安心感にも多少繋がることでしょう。
その他は仲介会社毎に専任媒介契約を締結した際に付いてくる売却サポートサービスに違いがありますので、サービスの説明を受けました。
値付けの考え方
上でも触れた通り、査定価格が高いだけで良し悪しを判断することは危険です。金額だけを見るのではなく、その金額を算出した根拠を確認し、それが腹落ちするものなのかを判断することが重要です。
我が家の場合は5社毎に価格がバラけました。一番高い会社と一番安い会社で200万円以上の差がありましたが、私は一番高い会社の査定価格よりさらに200万円プラスして売り出しし、1ヶ月もかからず買付が入りました。
私の場合は、①直近で同マンション内に高値の売却事例が出ていたこと②自分が売り出す間取りがマンション内では比較的売り出しが少ないタイミングであったこと、の2点の要素があったため少々強気の売り出しとしましたが、適正な値付けはケースバイケースですので信頼できる第三者に相談されても良いかもしれません。
私は直近成約坪単価+αで「売りたい価格」を設定、そこに指値が入った時用に80万を上乗せして売却を開始しました。
会社毎の特徴(と印象)
東急リバブル
大手の中でも売却サポートサービスが手厚いです。10万円分好きなメンテナンス/補修費用をリバブルが負担してくれるサービスもあり壁紙の補修などのコストを抑えられるのは魅力的でした。
聞いてもないのに囲い込みしません宣言をしてきたのも印象的で査定額は弱気でした。
住友不動産販売
駅最寄りの営業所に売却査定依頼をしたのに、別エリアの営業所から担当が来ました。もうこの時点でがっくりなのに、売却査定の根拠も雑、エリアについての理解も乏しい(別エリアから来ているので当然ではあります)と全く良いところ無しでした。
すみふらしく?査定額は強気で、査定額につられて売りを任せちゃってなかなか売れず、価格を下げる未来が見えました。
ノムコム(野村不動産系)
売却査定依頼後、即メールで図面と印象を送ってきました。スピード感も内容も十分で担当の方はかなりしっかりしている印象を受けました。
ただし査定書の説明に来た時の説明が自分たち本意で、とにかく仲介くれしか言ってこなくて失望しました。媒介契約取りたいからだと思いますが、査定額も5社TOP。チャレンジ価格でも売れそうなことを匂わせたりと全体的にイケイケでした。あとはプラウド含めて野村の営業マンに多い特徴なのですが、他社disが多めでした。
設備故障時のサポートはありましたが、リバブルにあったようなメンテ費用負担サービスはありませんでした。
あとノムコムの特徴として予約制披露会をアピールしてきます。単に内見を指定日にまとめて行うだけなのですが、複数の検討者が同時に内見することで競争意識を煽らせて申込率を高めます、また売主の立会負担を減らします、というのが謳い文句です。ですが、空室で売却する私にとって後者は影響無し、前者は検討者をまとめて両手になる検討者を優先的に売主に届けたいだけじゃないの?と薄汚れた私は穿った見方をしてしまいあまり響きませんでした。(実際どうかは知りません)
リハウス(三井不動産系)
WEBでの売却査定依頼完了後、即所長から日程調整の電話がくるなど、他社と比べて段違いのスピード感でした。(メール連絡の会社も多い)
ただし、査定書の説明に来たのは担当の方1名、他の会社はだいたい営業所長と一緒に来ていたのですが、そこは効率重視の印象を受けました。
ノムコムのdisで「リハウスの今のメンバーは皆転勤で入れ替わっているので土地勘ないですよ」という情報を仕入れていたので、しれっとこのエリアについての経験・知識をヒアリングしたところ来たばかりでよくわかってなさそうなコメントをしていて不安になりました。(リハウスは数年に1回転勤がありがちとのこと)
査定書は値付けの根拠も含めてかなりしっかり作られており、5社の中でクオリティはNo1でした。ただし査定額は抑えめかつ高値のチャレンジ売却はあまり勧めてこないスタンスでした。
こちらからの提案なしに、仲介手数料を半額にして調整してきましたと向こうから提案があったのもリハウスだけでした。(他社は満額の手数料を提示)
売却サポートサービスもリバブルには少し劣りますが比較的充実したもので、バランスは良かったです。
三菱地所ハウスネット
全体的にあっさりで特徴も薄いです。売却サポートサービスもリバブル・ノムコム・リハウスと比べると劣後します。
査定額も弱気、イケイケ感薄めでなんとなく三菱って感じでした。
仲介手数料
マンション売却における売主の手残りは[売却価格-仲介手数料-他諸費用]で、他諸費用は大した金額になりませんので、「売却価格を上げる」か「仲介手数料を抑える」ことが重要です。
綺麗事を言うと「仲介手数料なんて値切らずに気持ちよくプロに仕事してもらいましょう」なのですがそのプロの仕事ぶりでどれだけ売却価格が上がるかは不透明です。集客策もSUUMOにさえ掲載すれば大半は終わっているので、その仲介担当にしかできないアクションや付加価値というのはほとんどありません。少なくても私が話を聞いた5社からは「この人(会社)でないとできないこと」の提案は一つもありませんでした。
その点仲介手数料が割引されればダイレクトに手残り増に繋がるので、無理のない範囲での価格相談はあっても良いと思う派です。一方で初手から過度に仲介手数料を値切ると仲介会社や担当のやる気がなくなり、積極的に売却活動を進めてもらえないなんて話も聞くのでやり過ぎは禁物です。
私の場合はリハウスが仲介手数料を半額で提示してくれたため、その事例を元に他社に交渉し半額で媒介契約を締結しました。(その後色々あって更に仲介手数料を割り引いてもらうことになるのですが…)
囲い込みを抑止するテクニック
餅つき名人さんのブログでも書かれていますが、媒介契約締結時に「3ヶ月経って売却できなければ必ず仲介を変えること」を先方に伝えることです。またその際に売りたい価格を提示し、その価格以下の価格交渉には応じないことも伝えると尚良しです。(宅建業法上、専任媒介契約・専属専任媒介契約は契約期間が最大3ヶ月と決まっており、契約の自動更新は認められていません)
悲しい現実ですが、囲い込みを100%抑止することはできません。どんなに評判のいい会社でも担当によるガチャもあります。そして会って数時間でその担当が囲い込みをする人か否かを見抜くことは不可能です。
仲介としては媒介契約締結時点では1円の売上にもなっていません。何なら専任媒介締結時のサポートサービスがある会社だと契約締結時点では赤字です。仲介会社としては売れないと儲けにならないのです。
媒介契約さえ続いていれば多少強気なスケベ価格でもいずれ売れます。売れなくても値下げ調整等の打ち手を講じれます。しかし媒介契約が終わってしまえば仲介は利益を得るチャンスを逃すことになります。
売主から「3ヶ月で仲介を必ず変更する」と言われている以上、仲介としては3ヶ月の間に売らないといけません。結果的に囲い込みをするモチベーションが低下し、囲い込みの抑止に繋がると考えます。
逆に仲介を乗り換える意思なく、媒介契約を継続すると言ってくれる売り主は仲介するととてもありがたい存在です。頑張らなくてもいつかラッキーで買付が入れば手数料が入るためです。あなたが仲介の立場だった時に「3ヶ月以内に売らないと媒介契約終了し売上が0になる住戸」「ずっと媒介契約を継続してくれると言ってくれている住戸」どちらにリソースを割いて販売するでしょうか。
3ヶ月で売れなかった場合に切り替える仲介会社は1社目選定時に売却査定を依頼した会社になってくるケースが大半だと思いますので、媒介契約に至らなかった会社にもしっかり連絡して関係性を作っておくのがベターだと思います。ちなみにイケイケのノムコムはこちらから結果報告するも何の音沙汰もなく、そういうとこだよ…と思いました。
売却前のリフォームってどう?
仲介の方は売却前のリフォームに消極的です。そのコスト分を価格を安くするもしくは指値が入った際の調整弁にしてほしいというスタンスの方が大半でした。
一方で私はクロスを張り替えました。そもそも子どもの落書きでボロボロというのもあったのですが、クロスを張り替えると部屋に入った瞬間の印象がかなり違いました。
綺麗に住んでいる方であればさほど変わらないかもしれませんので、その時点での部屋の使用状況にもよりますが、リビング+洋室1部屋の壁一面(not天井)+キッチンの一部のクロスを全て張り替えても12万程度でした。クロス張替え前に内見をして保留となっていた方が再度張替え後の部屋を見て買付をいただくことになったので、結果的に我が家の場合は費用対効果の高い投資になったかなと思います。
余談ですが、白って200色あんねん(アンミカ)って言われるくらいなので、白のクロスと言っても多くのクロスがあり既存のクロスと同じものを探すのに苦労しました。それ以来私は新築マンションを購入する時にクロスの型番を教えてもらうようにしています。
さいごに
4回に渡ってお届けしてきました売却記はこれで一旦一区切りとなります。ご希望あれば税金関連の話もしたいのですが、随分と先になりそう…
「売却記」と言いながら私自身の体験についてはあまり触れられなかったので、いずれnoteでまとめたいなと思います(ゆるい予告)
ご相談あればこちらから宜しくお願いします!
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