はじめに
最近新築タワマンに入居したばかりですが、入居したマンションに魅了される一方で、もっと良い住まいがあるのではと思うようになりました。
マンション申込をした当初は子供はおらず夫婦二人での家選びだったので、子供が生まれた今、より子育てのしやすい環境を求めたいという思いもあります。
今回、東京オリンピックの選手村跡地にできるビックプロジェクト、晴海フラッグの建設現場を訪問してきましたので、備忘録も兼ねてレビューをしたいと思います。
物件概要
- 所在地:東京都中央区晴海五丁目
- 総戸数:4,145戸
- 敷地面積:96,250.26㎡
- 建物竣工:未定(当初は2022年秋)
- 引渡し:未定(2023年3月下旬予定)

日本を代表するデベロッパー10社による共同事業となります。約18haの巨大な敷地に5,632戸ものマンションが建設されます。公園に商業施設も新たに建設され、大規模複合開発の街が誕生します。
18haというのは、東京ドーム3.7個分に匹敵します。
東京オリピックの選手村として利用した後にリフォームを行い、住居として完成させ、引き渡しを行う予定となっています。当初は2023年3月下旬の引き渡しを予定していましたが、東京オリンピックの延期に伴い、引き渡しも延期となっています。
分譲街区がSEA VILLAGE、SUN VILLAGE、PARK VILLAGEの3つで4,145戸、賃貸街区がPORT VILLAGEの1つで1,487戸(シニア住宅、シェアハウス含む)となります。
施工や管理は街区によって異なっています。
- SEA VILLAGE 施工:長谷工、管理:野村不動産パートナーズ
- SUN VILLAGE 施工:前田建設、管理:三菱地所コミュニティ
- PARK VILLAGE 施工:三井住友建設、管理:三井不動産レジデンシャルサービス
本プロジェクトに関わるデベロッパーは以下10社となります。
- 三井不動産レジデンシャル
- 三菱地所レジデンシャル
- 野村不動産
- 住友不動産
- 東急不動産
- 東京建物
- 大和ハウス工業
- 住友商事
- NTT都市開発
- 日鉄興和不動産
デベロッパーの特徴についてこちらで解説しています。
駅距離
- 都営大江戸線「勝どき」駅から徒歩 17分〜21分
大規模なプロジェクトのため、街区や棟によって異なりますが、最寄りの勝どき駅まで一番近い棟で17分、遠い棟だと21分もかかります。
片道21分、往復だと42分にもなります。42分と言えば、JR総武快速で東京駅-千葉駅間くらいの時間になるので、毎日徒歩での駅利用を想定している人にはなかなか厳しい距離感のように思います。

しかし、駅距離のデメリットは誰しもが理解しているので、敷地内にBRTの停留所が新たに設置される予定です。BRTの停留所までは近い棟だと1分程度でアクセスできます。
現状はプレ運行でただの連結バスと言われることも多いBRTですが、2022年度以降に本格運行が開始します。本格運行時に想定されている速達性を実現することができれば、新橋、虎ノ門へのアクセスが非常に便利になりますので、交通アクセスが格段に良くなることが想定されます。

一方で速達性が向上しても輸送力の問題も残されています。JR中央線快速:中野→新宿間の輸送量は74,433人/時です。一方でBRTは本格運行開始時で2,000人/時程度、将来的に5,000人/時を目指すレベルです。
晴海フラッグだけで約12,000人もの住民が新たに増えることを考えると不安は残ります。
駅からの距離をカバーする為に大量のシェアサイクルを導入する予定です。ドコモサイクルシェアのコミュニティサイクルを敷地内に300台分のポートを確保します。さらに晴海フラッグ住民専用のシェアサイクルも導入される予定です。
立地
主要駅へのアクセス
- 東京駅:18分
- 池袋駅:29分
- 品川駅:20分
- 新宿駅:24分
- 渋谷駅:27分
平日8時着想定の勝どき駅から各駅へのアクセスです。主要駅全てに30分以内にアクセスできます。どこに行くにしてもアクセスは便利です。
大江戸線は地下深くにホームがある駅が多く、地上からホームまでも結構な時間がかかる駅が多いのですが、勝どき駅は比較的浅いところにホームがあるので、大江戸線の中では使いやすい駅だと思います。
1日の乗降客数
- 勝どき駅:102,086人
大江戸線開業当初は約3万人だった乗降客数が周辺の再開発やタワマン建設によって利用者がグングンと増えて、今や10万人を突破しています。
乗降客数は駅力の一つのバロメータであると思いますので、勝どき駅の駅力は開業当初の3倍近くになったと言えます。
今後も周辺にタワマンが建設されますので、引き続き駅力向上による街の盛り上がりが期待できます。
飲食店の数(食べログ調べ)
- 勝どき駅:559店舗
勝どき駅周辺はそこまで飲食店は多くないですが、隣に月島・築地がありますので、そこまで含めると飲食店の数は非常に充実しています。
特に築地については、市場は移転してしまったものの、周辺の飲食店の多くは残っており、味にも期待できます。
しかし、晴海フラッグから月島・築地は日常使いできる距離ではなく、勝どき駅周辺に絞ると飲食店の数は激減します。
敷地内に併設される商業施設にいくつかの飲食店が入ることが想定されますが、恐らくファミリー向けのチェーン店ではないかと思います。外食中心の方には、厳しい環境です。
近隣スーパー
- 新設される商業施設(ららテラス?)
- マルエツ×2
現状で最も近いのはドゥトゥールかTHE TOKYO TOWERS下のマルエツになると思いますが、新たに商業施設が敷地内に新設されます。
地上3階延べ床面積19,000㎡で、スーパーに加えて、生活利便施設を誘致予定です。三井不動産が手がけるということで、ネットではららテラスになるのではと噂されていますが、三井不動産が手がけてくれるなら安心できます。

ちなみに東雲のイオンが17,000㎡なので、なかなかの規模になることが想定されます。
学校区
- 新設小中学校
施設内に小中学校が新設されます。当初は2023年4月から開校予定でしたが、東京オリンピックの延期により、開校時期が未定に変更となっています。
6,000㎡の校庭を有するとのことで、校庭も大きそうですし、新築の校舎に通えるというのは、親目線からしても嬉しいポイントです。
プール、武道場、体育館、校庭は地域に解放される予定とのことです。

待機児童数、入園決定率
入園決定率:57.7%
待機児童数:197人
保活のミカタより抜粋
中央区の入園決定率は23区平均である71.8%を大きく下回る結果となりました。待機児童数は隠れ待機児が考慮できていないことから、保育園の入園のしやすさを正確に反映できている指標ではないと思っていますので、参考程度に留めておくのが良いと思っています。
中央区全体でも人口が増加しており、それに比例して子どもの数も増加しているもののそれを受け入れるだけの保育施設が十分に足りていないと思われます。保活には厳しく、保育園になかなか受かりにくい区です。
現状でさえ厳しい状況なのに、晴海フラッグの入居のタイミングでは、パークタワー勝どきの入居も始まりますし、そのすぐ後には豊海エリアでのタワマン建設やパークタワー勝どきのノース棟の建設も待ち受けており、とても状況が改善するとは思えません。
保育園入園がマストな家庭は、他の区も含めて検討された方が良いかと思います。
公園
- 晴海ふ頭公園
- 豊海運動公園
敷地内に晴海ふ頭公園も新設されます。公園内は芝生となるようなので小さい子どもでも安心して遊ばせることができます。
レインボーブリッジ側で海に面した公園となるため、非常に気持ちよさそうです。
他には運河を渡ってすぐのところに豊海運動公園もあります。最近改修?されたばかりでとてもきれいな公園です。
個人的には晴海ふ頭で十分な気もしますが、選択肢が多くあることはいいことです。

災害危険度
以下は、都内5,177丁目中の順位で、順位が低いほど危険度が低いことを表します。
建物倒壊危険度:5086位 ランク1
火災危険度:5084位 ランク1
総合危険度:4767位 ランク1
地震情報サイトより抜粋
形成された年代が新しく、沖積層を中心とした地盤です。主に海面下での堆積物でできているため、軟弱な地盤となっています。
しかしながら、新たに開発を行う街ということで災害のリスクはかなり低いです。運河沿いではありますが、内陸に位置する場所なので津波のリスクも低く、災害危険度は低いです。
共用部
各マンションの1Fに住戸はなく、全て共用施設が入ります。なんとその数51個。その内25個は居住する街区を問わず利用することができます。
共用施設が豪華だと言われるタワマンであっても共用施設の数は10個もないと思います。他のマンションでは体験できないほどの共用施設の充実度合いです。
キッズルーム、日曜大工を楽しめるCRAFT ROOM、パーティールーム、スポーツバー、ヨガなどを楽しむACITIVE ROOM…多様な共用施設で新しい体験ができるのは非常に魅力的です。


専有部
モデルルーム未訪問の為、専有部の設備仕様は、未確認ですがかなりコストをかけたマンションということで充実した仕様となっているようです。
特徴的なのは、最多の住戸専有面積が85㎡と非常に大きいです。立地的にもファミリー層をかなり意識しているかと思われますが、単価が安い分面積を大きくし、グロスの価格はそこそこのものとしているように思います。
価格
既にモデルルームに訪問した方の情報を見ていると平均で坪300万程度とのことです。
パークタワー勝どきの高層階が420万、ブランズタワー豊洲が400万、パークタワー晴海が350万レベルだったことを考えるとやはり単価は安いと思います。
しかしながら駅距離等他物件と単純比較ができない部分も多いので、単純に高い安いの議論は難しいかと思います。
個々人の価値観に合うか否かというのが他のマンション以上に重要なマンションだと思います。
周辺相場
- ザ晴海レジデンス 築11年 勝どき駅4分 75平米:6,499万円(坪285万円)
ザ晴海レジデンスがヒットしました。
築11年なので、年4万/坪の減価を考慮すると+坪44万で坪300万の晴海フラッグは割安評価ですが、駅距離はザ晴海レジデンスが勝どき駅まで徒歩10分に対し、晴海フラッグは徒歩20分レベルなので比較が難しいです。
単純に勝どき駅まで徒歩20分のマンションと考えれば割高ですが、BRTの可能性、共用施設の充実度合いや専有部の仕様、敷地内の商業・学校・公園一体開発ということを踏まえると妥当な価格かと思います。東京BRTの成功が鍵を握っています。
検索条件:45平米以上、2K~3LDK、駅徒歩15分以内、築15年
ポジティブポイント
晴海フラッグ全体
眺望
周囲を海に囲まれており、目の前を遮るような建物は基本的にありません。よって、レインボブリッジや東京タワーなどTHE東京な眺望を楽しむことができます。
特にレインボーブリッジは目の前になるので、非常に迫力があり、昼も夜も絶景を楽しめるはずです。
豪華な共用施設
全部で51もの共用施設と非常に恵まれています。共用施設の利用を通じて住民同士の交流も深まりそうですし、こんなに多くの共用施設を楽しめるマンションはこれが最初で最後となる可能性もあります。
複合開発
マンションだけでなく、商業施設、公園、小中学校、保育施設等多くの施設が同時に開発されます。晴海フラッグという街で全てが完結するのは魅力的です。
中央区とは思えない価格
中央区の新築マンションが坪300万というのは破格だと思います。
駅からは遠いですが、都心からの物理的な距離は近いのでタクシー利用もできますし、駐車場は充実している為、車移動が主の人からすれば、駅距離はデメリットになりません。
港区、千代田区と並ぶ都心3区の中央区の新築マンションが坪300万で買えるチャンスは今後もうないかもしれません。晴海フラッグのコンセプトにハマる人からすれば格安のマンションだと思います。
SUN VILLAGE
分譲では3つの街区がありますが、私はSUN VILLAGEが狙い目だと思いますので、SUN VILLAGEのポイントをご紹介します。
BRT乗り場に近い
駅までの距離は本マンションの大きなネガティブポイントですが、BRT次第で大きく評価が変わる可能性があります。 BRTが評価されるようになった時にBRTの乗り場に最短で着く街区、棟というのは、他の棟と並んで中古に出回った時も大きな差別化要因になります。
商業施設が近い
商業施設が近い上に、日常の導線上に商業施設がある為、毎日の買い物がより便利になります。
グロスの価格が安い
4,145戸も住戸があれば、恐らく常にどこかの住戸が中古で売りに出ている状態になることが想定されます。
そうした時に検討者の多くは坪単価ではなく、グロスの金額で良し悪しを判断することになると思いますので、多少単価が高くても少し面積は小さめで、グロスが低い住戸の方が中古市場での競争力は高いと思います。
ネガティブポイント
駅からの距離
やはり駅から徒歩20分というのは多くの人にとって大きなネガティブになると思います。
大人の足で20分なので、子どもの足だと30分は覚悟しておく必要があります。そうなると子ども一人で電車利用というのはあまり現実的でないように思いますので、塾や習い事等の移動は、家族のサポートが必要となることも覚悟しておく必要があります。
BRTの将来性
BRTが想定されているバス以上モノレール以下のレベルの交通手段として機能するのであれば、駅からの距離に対するデメリットは多少薄れますが、現状はただのバスレベルです。
本当に速達性は改善されるのか、輸送力は事足りるのかまだまだ不安は残っています。
周辺の商業、飲食店不足
敷地内に商業施設が建設されることで最低限の買い物は敷地内で事足りるものと思いますが、それ以外の買い物は周辺に何もない為、何を買うにしても不便です。
飲食店も周辺にはほとんど店がなく、勝どき駅まで出てもチェーン店がいくつかあるくらいなので、外食が好きな方からすれば非常に物足りないと思います。
おすすめ間取り
SUN VILLAGE内でも多くの棟、住戸がありますが、個人的にいいと思った間取りをご紹介します。
5B83B 3LDK/83㎡

南西から北西を向く角部屋です。
間取りも非常にきれいな上、全ての部屋がバルコニーに面しており、各部屋の形もきれいなので、住み心地は非常に良さそうです。
この間取りのあるB棟の目の前に消防署があります。消防署を抜けてくる階になるとレインボーブリッジが見えてくる為、価格が上がります。
5F(消防署より低い階) 7,300万円台(約坪290万円)
9F(消防署より高い階) 8,700万円台(約坪345万円)
消防署との距離感がピンとこなかったので、現地に行って見てきました。
晴海フラッグは全体的にとても開放感のある作りとしているので、目の前にあるように見えますが、個人的にはあまり気になるほどの距離感には感じませんでした。
写真だと伝わりづらいかもしれないですが、こんな感じです。(左がB棟、右が消防署。奥にうっすらとレインボーブリッジが見えます)

恐らく、消防署を超えない5Fであっても南西側のレインボーブリッジは多少見えそうですし、北西側の都心ビューも楽しめそうです。
ただし、2、3Fになると目の前の豊海の倉庫で遮られてしまいそうなので、都心ビューを楽しむ為には、5F以上だと安心です。
つまり5Fは消防署を超えないおかげで、単価はかなりディスカウントされているものの、レインボーブリッジも一部楽しめ、都心ビューも満喫できる為、非常にコスパが良いと判断しています。
B棟前から北向きからスタートし、周辺をぐるっと撮影しました。地上からなので多少イメージは異なりますが、周辺がどんな雰囲気なのかはイメージできるかと思います。
本マンションはデザイン性を確保する為、階によってバルコニーのデザインが異なります。それはB棟においても同様ですので、ご注意ください。
せっかくの開放感をより多く享受する為にも個人的にはバルコニーはクリアガラスが好みなのですが、この間取りの場合、低層はコンクリの立ち上がりがあります。ちなみに5Fはバルコニーは全てクリアガラスになっているので、やはり5F一択です。
細かい仕様は現物を見て確認するのが確実です。


さいごに
さすが日本を代表するビックプロジェクトなだけあり、SUN VILLAGEの一間取りしかコメントできませんでした。
他にもSEA VILLAGEやPARK VILLAGEと2つの街区があり、それぞれに個性があり、おすすめの間取りがあります。既に上記2街区は第一期の販売が完了し、多い部屋では70倍近い倍率が付いたとも聞いています。
しかし東京オリンピック延期に伴い、引き渡し時期が延期になったことで、無償キャンセルの受付を契約された方に案内しているようです。となると第一期で販売となった人気の部屋がキャンセル住戸として改めて世に出てくる可能性がありますので、今後の動向には要注意です。
そして未販売のまま、販売凍結となっているSUN VILLAGEも来年には改めて販売開始されることが想定されます。
湾岸マンションの相場はコロナも何のそので右肩上がりで上がっており、当初通りの価格で販売再開するのであれば、当時以上に割安となっています。
「住まい」としては非常に魅力的な部分が多いですが、駅距離があったりと、万人受けするプロジェクトではありません。逆にこのプロジェクトがマッチする方には、最初で最後のマンションとなる可能性が高いと思いますので、販売再開に向けてリサーチを開始されることをお勧めします。
既にマンション自体は建設されているので、現地に行って雰囲気を感じてみるのも良いかと思います。
湾岸に興味はあるけど、あと4年も待てない方や駅近は譲れないという方は、ブランズタワー豊洲の方がおすすめかと思います。こちらで詳しく解説していますので、宜しければ合わせてご覧ください。
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